令和2年度 異業種交流研修会のご報告



開会の挨拶をする会長(挨拶全文・リンク)

3月7日(日曜日)
「KKRホテル東京」を会場にして、
東技連と全技連マイスター会東京都支部の共催で「異業種交流研修会」が実施されました。

 年度末の忙しい時期にも関わらず、40名のご参加をいただき、盛会でした。

 その一部をご紹介します。

技能五輪・アビリンピック担当課長
小野寺静恵氏の講演


【第1部】
 東京都産業労働局 技能五輪・アビリンピック担当課長の小野寺静恵氏より「ものづくり・匠の技の祭典2020の開催結果及び来年度の計画に並びに東京の産業等の魅力発信イベントついて」の講演があり、その後に今年の祭典に参加した会員から経験を踏まえた運営等についての報告等、意見交換を行いました。

東京内装仕上技能士会の大竹伯宗氏


東京都椅子張り技能士会の井ノ上洋一氏


都立府中療育センター看護科長 釜英介氏

【第2部】
 コーヒータイムを挟んで、都立府中療育センター看護科長 釜英介氏による講演「新型コロナウイルス感染症対策について」の講演がありました。

令和2年度 異業種交流研修会での会長挨拶(全文)

 いつもこの時期になるとこの研修会がスタートした10年前を思い出します。
あの時は東日本大震災が起きた翌々日でした。中止する判断もありましたが実行しました。あれから早くも10年たちました。
私は大震災があるたびに考えることがあります。この震災は天災なのか人災なのかということを。東日本のときの地震は天災かもしれませんが、福島原発は人災ではなかったか?
今回の新型コロナも天災とみるのか温暖化等人災による突然変異による災難はなかったのか?

 この1年余りの自粛生活を体験しますと、健康で当たり前の普通の生活ができることがいかに有難いかを実感しています。
 いま世界中が新型コロナの只中にあり、これを解決することが最優先課題になっています。感染を完全に解決するためには集団免疫の状態を作るしかない。
 今から100年前に猛威を振るったスペイン風邪の時は世界人口の3分の1にあたる約5億人が感染し、ヨーロッパだけでも2,000万人以上が死亡しています。
 当時は第一次世界大戦中でしたが戦争を終わらせる要因にもなったと言われます。多くの人が感染し集団免疫を得ることになり感染も収束にむかいました。
 今回の集団免疫獲得にはワクチン接種が大きく影響してきます。それまでは新型コロナに感染しない注意をすることに尽きるわけです。

 私がいま心配しているのは、新型コロナ収束後の世界です。
 新型コロナ収束後の世界経済はしばらく停滞し混乱していきます。
 経済のV字回復は望めず、上昇回復に乗れる人と、さらなる困窮にあえぐ人に分かれるK字回復なっていきます。
 国の資金力による国家間の格差が広まります。国民の貧富の差は深刻になります。自殺者や犯罪の増える物騒な時代が始まります。
 こうした時代からいち早く立ち直る国はどこか?
 いつの時代も、「ものづくり」に優れた国からです。
 第二次大戦のときも、敗戦国であった日本とドイツがいち早く立ち直りました。優れた技能、技術を基本にした「ものづくり」があったからです。
 今回はどうか?
 しばらくは中国の一人勝ちになるかもしれません。
 世界の工場といわれるまでに中国に「ものづくりの現場」が集中しているからです。人口も世界一。資源もあります。AIの進展は目を見張るばかりです。
 私たちはこれからの中国を冷静にみていく必要があります。
 欧米がいつまでも「白人優位」「有色人種差別」という古い意識・体質から抜け出さない限り、中国、インド、日本という有色民族に対抗しきれない時代がくるかもしれません。

 では、中国の一人勝ちの時代が長く続くのか?
 弱点を捜せば、3点あります。
 一つは強行政策が加速し始めている政治体制です。
 香港やチベット、ウイグル民族、台湾等への強権政策やインド太平洋地域での領海強行策です。このまま強行策が拡大すると世界中を敵に回してしまう恐れがあります。
 一昨日、3月5日の日経新聞一面に「米軍が対中ミサイル網を築く」と掲載されています。これから6年間でアジアに2.9兆円の予算を投じて整備するそうです。日本やフイリピンなどに整備されるようです。
 そして昨日の新聞では、中国全人代が開幕された記事が掲載されています。
 これによると、あと4年後には中国のGDP(国内総生産)が米国の4分の3になり米中対等時代に近づき覇権争いが激しくなる、そうです。
 中国が欧米に恐れられるように強気になってきたのは経済大国になってきたからです。中国側からみれば、これまで長い間蔑視されてきた屈辱を晴らす時代が到来したと考えているかもしれません。
 しかし大国というのは恐れられ国になってはだめです。尊敬される国にならなければなりません。昔、ローマ帝国が繁栄したのは、征服した国の街づくりや水道、下水といった生活基盤を整備し国民を満足させたからです。ローマに支配されることを喜んだといいます。あまりにも拡大したため東ローマと西ローマに分けて支配したほどです。
 大国が恐れられる国、チャイナ・イズ・NO1と言われた時がその国の頂点であり終わりの始まりになっていきます。

 二つ目は、人口の年齢構成の問題があります。
 中国は一人っ子政策が長く続いたために一人の若者が6人の高齢者を支える時代に突入しています。年金、医療、軍事等どれをとっても深刻です。年金も満足に支給されなくなります。収入のない老人が大量に発生する心配があります。 中国の歴史をみると国民が飢える時に革命がおきます。内部崩壊が始まり心配があります。
 三つめは、環境問題です。
 中国はこれまで石炭や排気ガス等で地球温暖化を加速させる要因を作ってきました。そのつけが起きています。新型コロナが中国・武漢から発生したのも環境問題と無関係には思えないのです。今後も新たなウイルスの発生や自然破壊、河川の氾濫等の発生があるかもしれません。
 食料危機も心配です。
 いま中国に限らず、世界の農作物も安心できなくなっています。
 環境の変化により砂漠に雨が降るようになりました。これまで見たこともない「砂漠飛びバッタ」が登場してきました。
 このバッタは砂の中にしか卵を産みません。雨の降った直後に大量の卵を産み何億匹もの大群で移動し世界中の農作物を食べつくします。1日で150キロ以上も移動するそうです。いまはインドや東アフリカ、チベット等にいますが、これが台風等でゴビ砂漠やシルクロードを渡って中国大陸に渡り、農作物を食べ尽くしたら中国だけでなく世界的な食糧危機になります。
 新型コロナの比ではなくなります。

 では、日本はどうなるのか?
 中国と欧米の対立が激化するにつれて日本の立場は重要な位置になります。
 欧米と中国の間での貿易は縮小していきます。代わりに日本から部品の調達等 が増加していくように思います。かつての朝鮮戦争のときに日本が最高の景気回復をとげたのと同じような時代がくるかもしれません。
 コロナ収束後の新しくくる時代に、日本が世界に勝つには、ものづくりの世界で価格競争に巻き込まれず、品質競争に勝てる国にしていくことだと思います。 「ひとづくり、ものづくり、くにづくり」ということを国の政策の柱にして、日本を世界に誇れる「ものづくり立国」「品質列島」にしていくことです。
 そのためには品質競争に勝ち抜ける本物の技能士が主役にならなければなりません。
 歴史的にみると、日本は幾度となく襲った災難から奇跡的に回復しています。
 日本は資源には恵まれていませんが、大陸から離れた美しい領土と優れた人材に恵まれています。危機の時に必ずといってよいくらい救世主が現れます。
 世界は混乱していきますが、近い将来、「日本という国が地球上にあってよかった」と思われる時がくるかもしれません。日本が尊敬される国になれるのです。
 本日の研修会は、技能の重要性を再確認するともに、いま最大の課題である新型コロナに関する講演会が組まれるという大変、贅沢な研修会です。
 貴重な時間が過ごせることに感謝したいとおもいます。
 有り難うございます。


●平成28年度 異業種交流研修会(リンク)
●平成27年度 異業種交流研修会(リンク)